Caloo人間ドック

臓器を横断した見方ができるのが読影医の強み

手間と時間をかけた丁寧な読影体制で精度の高い人間ドックを目指す

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慶應義塾大学病院 読影医 塩見 英佑 先生 -Vol. 01-

塩見 英佑

塩見 英佑

画像診断全般を担当

専門領域: 放射線診断学

所属学会: 日本医学放射線学会 日本IVR学会 日本核医学会

慶應義塾大学病院(以下、慶應病院)の人間ドックにおける読影医の役割について教えて頂けますか?

慶應義塾大学病院予防医療センター人間ドックで撮影される画像検査全般の読影を行っています。CT、MRI、X線、超音波、PET検査、等色々な画像検査を行いますが、画像を撮影する検査自体は専門資格を有する診療放射線技師が行い、撮影された画像の判定を読影医である私たちが担当しています。

一般の方にはなじみのない方も多いと思いますので、読影医について教えて頂けないでしょうか?

CT、MRI、X線、超音波、PET検査などで撮影された画像から、がんや脳梗塞などの病気や病気の兆候がないかを専門に調べる医師を読影医といいます。通常は直接患者さんの診療をする事はありませんが、その代わりに一日中画像を眺めては判定を繰り返しております。

読影医の専門資格としては日本医学放射線学会放射線診断専門医というものがあり、近年認知が高まりつつあると思われます。

その背景には、急速に進むコンピューターの進化とそれによる画像診断系の医療機器の進化があります。 例えば当院の人間ドック胸部CTでは、肺の範囲の撮影で、2mm間隔で200枚前後の輪切りの画像を撮りますが、これにかかる時間は10秒以内です。

ところが30年以上前のCTが実用化しだした頃には、たった一枚の輪切りの画像を撮るのに5分以上かかっていました。数百枚の画像を10秒以内で撮るのと1枚に5分以上かかることを比較すればいかに医療機器が進化したかがわかると思います。

この結果、日常診療の場でも、患者さんの画像データというものはとてつもなく膨大になり、そのデータを有効活用ができれば、診断の精度も非常に高まるようになりました。

ただし、臨床の医師にとって、忙しい診療の間に目を通すにはあまりにも画像枚数が多すぎる事、専門の臓器以外も撮影されるため全身の画像に精通する必要がでてきた事、セカンドオピニオンとしての活用、等、多くの理由で、画像の読影を専門とする診断専門医の活躍の機会が急速に増えてきており、その事が、認知の高まりに繋がっていると思われます。

その証に、施設基準を含めた一定の条件を満たすという前提で、放射線診断専門医の読影により保険点数の加算が認められており、厚生労働省も専門医による画像の読影を診療上非常に重要なものと捉えている事が分かります。

読影医の重要性とはどういった点になりますか?

人間ドックという病気の拾い上げを目的とした検査においては、臓器別の専門を超えた横断的な見方ができる点が重要だと思っています。例えば肺を専門とする医師であれば、肺の病気の判定には優れています。

しかし、CTで肺の範囲を撮影すると、そこには肺だけではなく乳腺、肝臓、すい臓といった臓器も一部または全部写ります。肺を専門とする医師では、どうしても自分の専門以外の臓器である乳腺、肝臓、すい臓に病気の兆候が出ていても気づきにくいということが起こります。

読影専門の医師は、体全体の画像を毎日みています。そのため撮影された画像から臓器を横断した形で異常のあるなしを判定できるという点がメリットだと思います。

即ち、費用や時間、CTでは被ばくのデメリットを払ってまで施行した検査で得られた貴重な画像データ、その膨大な情報を無駄なく有効活用するために、放射線診断専門医の役割が重要だと言えます。

他にも、実際に撮影する診療放射線技師と一緒に撮影や検査体制の工夫をして精度を高めたり、画質を担保しつつ過度に被ばくさせないように被ばく量のコントロールをしたりする役割も果たすことができます。

塩見 英佑
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